令和8年度の調剤報酬改定について、日本保険薬局協会(NPhA)が影響調査を公表した。
主要5項目で、1受付あたり平均12.25点減。
報道では「88.3%の薬局がマイナス」とも伝えられている。
薬剤師として気になるのは、これが給与や人員にどう響くのか、だと思う。
そこで、報告書と報道、薬剤師白書の数字を読み比べて、確認できたことを整理した。
結論
NPhAの調査では、主要5項目の1受付あたり平均影響が合計で-12.25点だった。
調査はこの5項目の試算で、増点項目(ベースアップ評価料など)は合算に入っていない。
「88.3%」は、報告書では「主要5項目の試算でマイナスだった薬局の割合」と書かれている。
経営全体の赤字や減収の割合ではない。
病院、ドラッグストア、については、今回の調査に数字がない。
一方で、主要5項目でマイナスだったということは、全体でもマイナスの可能性が高く、業務量や給与への影響は十分に考えられるだろう。
ニュースの要点
NPhAの医療制度検討委員会による調査で、2026年9月に報告書(その2)が公開された。
回答は4,725薬局の管理薬剤師で、実施は2026年7月1日〜24日のオンライン。
回答薬局の月平均処方箋受付回数は1,461.3回だった。
主要5項目の、1受付あたりの平均影響は次のとおり。
| # | 加算 | 影響(点/受付) |
|---|---|---|
| 1 | 調剤基本料 | +0.62 |
| 2 | 地域支援・医薬品供給対応体制加算 | -4.84 |
| 3 | 電子的調剤情報連携体制整備加算 | -0.42 |
| 4 | 調剤管理料 | -5.94 |
| 5 | かかりつけ薬剤師指導料 | -1.85 |
| – | 合計 | -12.25 |
試算
12.25点を1点10円で換算すると、1受付あたり122.5円。
受付枚数別に年額にすると、次のようになる。
| 月の受付枚数 | 月の影響額(粗利) | 年の影響額(粗利) |
|---|---|---|
| 1,000枚 | -12万2,500円 | -147万円 |
| 1,461枚(報告書の平均) | -17万9,000円 | -215万円 |
| 2,000枚 | -24万5,000円 | -294万円 |
| 3,000枚 | -36万7,500円 | -441万円 |
| 4,000枚 | -49万円 | -588万円 |
これは薬局全体の調剤報酬(請求ベース)の減少額の目安で、薬剤師個人の給与が同じだけ減るという意味ではない。
ただ、1店舗あたりでこれだけの粗利が減少することを考えると、これからの薬局にはさらなる経営の効率化が求められるようになると思う。
薬剤師白書2026
マイナビの薬剤師白書2026年版には、現場の状態を示す数字がある。
調査はマイナビ薬剤師の登録会員313人への回答で、実施は2026年6月22日〜7月16日。
- 精神・心理面でゆとりがない:59.2%
- 時間的にゆとりがない:58.1%
- 体力・健康面でゆとりがない:54.6%
- 経済的にゆとりがない:48.2%
全国の薬剤師を代表する調査ではなく、転職サービスの登録者に偏る可能性がある。
「ゆとりがない」の基準も、記事では確認できなかった。
様子見でいい人/動いた方がいい人
情報収集を始めてもよさそうな人
- 会社から、人員削減や賃金の見直しの説明があった
- 残業や休憩が取れない状態が数か月続いていて、相談しても変わらない
- 今の薬局の受付枚数や加算の状況が見えず、将来の見通しを聞ける人がいない
- 自分のやりたい業務(在宅、対人業務など)が、今の職場ではできない
様子見でいい人
- 会社が数字(受付枚数、加算、労働分配率、人時生産性)を共有していて、説明に納得できる
- 勤務条件に変更の話がなく、今の仕事内容に大きな不満がない
- 報道の数字を見て不安になっただけで、自分の職場ではまだ何も起きていない
今の職場でできること
- 自分の薬局の数字を知る。受付枚数、算定している加算、労働分配率、人時生産性を、上司に聞いてみる。
- 業務の時間を書き出す。何にどれくらい時間がかかっているか。減らせる業務があるかを、職場の改善提案につなげる。
- 勤務条件を相談する。シフト、休憩、残業、役割の見直しは、人事や上司に相談できる。
- 社内異動や担当の変更を相談する。店舗間、本部、在宅などに関心があれば、早めに伝えておく。
- 学び続ける。認定・専門薬剤師の取得や研修・セミナーなど、自分に合うものを調べて、行動に移す。
