スポーツ庁が、靴を入り口に日常の運動を増やす「シュープロ」を、2026年9月2日から始めた。
薬剤師として最初に思ったのは、「薬局は関われるのかな」ということだ。
結論
シュープロは、薬局や薬剤師の仕事を変える施策ではない。
公式ページと報道を読んだ範囲では、薬局・薬剤師を対象にした記載は確認できなかった。
薬局が地域の健康づくりに関わる制度は別にある。
それが健康サポート薬局で、2027年5月20日に、都道府県知事の認定を受ける「健康増進支援薬局」へ切り替わる予定。
シュープロの要点
靴を起点に、運動・スポーツの習慣化と健康増進を進める取り組み。
名前は「シューズ」と「プロジェクト」から。
報道によれば、記者発表は2026年8月27日、開始は9月2日。
スポーツ庁の河合純一長官は、スポーツではなく靴を起点にする発想を説明したと伝えられている。
参加するのは、メーカー、小売、IT企業、教育・研究機関、自治体など。
団体が申請し、シュープロ事務局の審査を経て、承認とロゴ使用の許可を受ける流れ。
一部の報道では、10月12日(スポーツの日)にポスター掲出などを予定、と一部の報道にある。
背景にある運動実施率の数字
背景は、運動する人の割合が伸びていないこと。
スポーツ庁の令和7年度の世論調査では、20歳以上で週1日以上運動・スポーツをする人は51.7%。20〜50代の働き盛り・子育て世代で低い傾向が続いている。
国の現行の計画(第3期スポーツ基本計画、令和4〜8年度)は、成人の週1回以上の実施率を70%程度にする目標を掲げている。
歩数は、健康日本21(第三次)で、令和14年度に1日の平均歩数を20〜64歳で8,000歩、65歳以上で6,000歩とする目標がある。
薬局が健康づくりに関わる制度
薬局が地域の健康づくりに関わる枠組みとして、健康サポート薬局がある。
2016年に始まり、国の基準を満たして都道府県知事に届け出る制度。
現行では、研修を修了し、薬局での実務経験が5年以上ある薬剤師が常駐する、といった要件がある。
確認できた範囲で最新の公表値は、2024年9月30日時点で3,232薬局。
国の検討会では、認知度が約8%と低いことも課題に挙がっていた(令和7年5月)。
令和7年5月に公布された改正薬機法で、この制度は「健康増進支援薬局」という知事の認定制に変わる。通知では、施行は2027年5月20日とされている。
新しい認定基準で、職場にどんな影響がある可能性があるか
厚労省の通知を読むと、健康増進支援薬局の認定基準には、次のような項目がある。
- 相談のための間仕切りされた窓口があること
- 医療機関、保健センター、地域包括支援センターなどとの連携体制
- 過去1年間の、連携による健康増進支援活動の実績
- 常勤薬剤師の半数以上が、1年以上継続して勤務していること
- 常勤薬剤師の半数以上が、研修を修了していること
これらを満たす薬局では、薬剤師が相談や連携活動に関わる機会が増える可能性がある。
一方で、体制づくりや研修の負担などを踏まえて認定を目指すかどうかは各社の判断なので、同じ制度でも会社ごとに温度差が出ると思う。
様子見でいい人/動いた方がいい人
様子見でいい人
- 今の職場の仕事内容や待遇に、大きな不満がない
- 患者さんへの声かけや相談を、今の環境でできている
- 職場が認定を目指すかどうかを、まだ聞いていない(先に聞いてみる段階)
情報収集を始めてもよさそうな人
- 健康づくりや地域連携の仕事に関わりたいが、今の職場では機会がないと感じている
- 上司に相談しても、研修や担当の機会が得られそうにない
- 勤務時間や人員の面で、相談や連携に時間を割けない状態が続いている
今の職場でできること
- 社内で聞く:会社が健康増進支援薬局の認定を目指すか、上司に聞いてみる。
- 研修を調べる:健康づくり関連の研修を調べて、受講してみる。
- 担当を相談する:相談会や地域活動の担当に手を挙げられるか、話してみる。
- 異動を相談する:同じ会社の中に、そうした店舗があるか聞く。
- 勤務条件を相談する:時間の余裕がないなら、シフトや人員を相談する。
靴はきっかけにすぎない
「シュープロ」は、運動のきっかけにはなるかもしれない。
運動を習慣化できるかどうかは、そのあとの環境と、見守る人がいるかどうかだと思う。
動き出した足を、近くで支える仕事が地域の健康を守る薬剤師の仕事だと思う。
ただ、その仕事に時間をかけられるかは職場による。
まずは、今、自分ができることから始めてみよう。
